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2008/10/22

SOUND FINDER interview with BRISA

Brisa_210月22日にいよいよ日本でのデビューを果たすBRISA。BRISAとはポルトガル語でそよ風という意味ですが、風が何か押し出すというイメージが好きでアーティスト名にしたというこの男は並はずれた才能とその才能を活かす術をもっている。以前アルバムレビューについては掲載し、その中にデビューまでの過程は書いているので、そちらをご覧いただくとして、このインタビューでは、彼の作品の根底に流れる彼の思想を皆さんに感じてほしいと思っています。

・子供のころの家庭環境をご説明いただけませんか?

父親はプロダクトデザイナーで、祖父が画家をやっていました。
祖父は、一緒に住んでいた訳ではなく、都市部とは離れた場所にアトリエを持っていまして、数年に1度ぐらいしか会える機会は無かったですね。決して芸術家として順風満帆の人生を送っていた訳ではありませんでしたが、己の創作意欲に忠実に、生涯を捧げた姿というのは、子供ながらにも強烈に印象に残っていますし、影響も受けていると思います。
父親は、工業物の設計をやっていましたが、フォルムへのこだわりはもちろん、メカマニアなところもありまして、時間があれば、色々な工業物を分解しては、組み立てたり…という事をよくやっていました。その流れで、スピーカーを自作したり、カーオーディオなどにもどんどんこだわっていったり…

そういった中で、何かしらの音楽は常に身の回りにかかっていました。日本の歌謡曲や、映画のサントラ、マドンナやマイケルジャクソンなんかのテープやCDがあったのを覚えています。

・音楽的なバックボーンについてご説明いただけませんか?

確か小学5年くらいの時に、自分のお小遣いで初めてCDを買ったと思いますが、中学時代になると、主に洋楽のロックを中心に買っていました。その後グランジを通ったのですが、何となくそこで止まってしまい…
そんなある日、偶然車でかかっていたJAZZを聴いて、とても興味を持ったんです。
それまであまり聴いていなかった、黒人音楽のバイブレーションに、急激に関心が移りました。
そんな折、服飾関係を目指していた友人が居たのですが、音楽も詳しく、当時出始めていたACID JAZZを教えてくれたんですね。
そのまま徐々にクラブにも通うようになりまして、ハウスやヒップホップ、テクノなども知っていったという感じです。

・楽器の経験がないということにびっくりしているのですが、なぜ楽器の経験がないのに、音楽制作をしようと考えるようになったのでしょうか?

自分が思うに、DJをしばらくやっている方なら、一度は “自分の曲も作ってみたい!”と思う事が、願望も含めて、あると思うんです。僕も典型的なそのパターンですし。
ただ、そこで楽器経験のある人だったり、制作のいろはを知っている人なら、踏み込むのも容易なのですが、まったく経験の無い人の場合、躊躇する事もきっとありますよね。
自分の場合は、学生の頃はMTVのような音楽関係の映像作家になりたかったのですが、元々、”何か自分だけの物を作りたい” という願望はあったんですよね。 
結局その映像の道には行かず、音楽に進んだ訳ですが、根本的な創造欲求は変わっていないんだと思います。その欲求が、曲をつくりたいという形で、5年前のある日ポッと出てきたという (笑)
当然、楽器経験も無い訳ですし、いきなりフルバンド的なアレンジは当然出来ないに決まってますよね?でも、クラブミュージックに関しては、そこの間口は広いわけで。
極論を言えば、リズムだけでもトラックとして成立しますし、ネタのループだけでもかっこいい曲はいくらでもありますし、大事なのは、感覚なのかなと。
海外などでも、リズムマシーンだけだったり、サンプラー1台で作ってるアーティストもいる事は知ってましたし、これなら自分でも何か出来る気がしたんです。幸い、自分は昔グラフィックの勉強をしていた事もあって、MACだけは持ってたんです。
といっても、当時はPower Mac 7600/200でしたけど (笑)
とにかくこれでなんとか出来ないかという事で、楽器屋に行って「あと何があれば曲作れますか?」と聞きました。(笑)
当然、最初は苦労しましたよ。MIDIって何?音ってどうやって出すの?というレベルでしたし、配線も全然分からないですし。説明書はあまりに分厚くて、読む気にならなかったですし(笑)
でも、とにかく夢中になりまして、ほとんどの時間を費やしてましたね。気づけば1ヶ月程経った頃には、とりあえず曲らしき物が出来上がっていた…みたいな感じです。

・制作をする上で心がけていることを教えてください。

例えば、何らかの曲が完成した時に、最初はもちろん嬉しいと思いますが、足りない部分、より良くなる方法を意識できるかどうかが大事だと思っています。自分の現状の実力を知るという事でしょうね。
後は逆に、無理かもと思っても、トライしてみる事も大事だと思います。
自分も、以前は好きなレーベルなどにどんどんデモを送りつけたりしましたし、実際そこからチャンスを得た事もあります。今では相当恥ずかしい曲もありますけど(笑)
自分は楽器が出来ないので、曲を印象で記憶していると思っています。最初の頃は、イメージや、印象を頼りに、それに近い音や、響きを探して、重ねていくという感覚で作っていました。最近よく思うのですが、絵を描く感覚に近い部分があると思ってまして。
絵はキャンバスに対して、色を重ねていって、絵に仕上げていく。そこには、法則や、決まり事は無い訳です。音楽に置き換えると、自分はその感覚に近いんじゃないかと思うんですよね。
少しずつ機材を覚えていきながら、今では、多少鍵盤を弾いたりもしますが、基本的には、感覚を頼りに音を重ねていく作り方だと思いますね。
よく、生音系の曲やヴォーカル曲を作っても、テックっぽいと言われるのですが、楽器が出来ない故の、音の置きかたがそう聴こえさせるのかなと思ってます。

・DJを始めたきっかけは何だったんですか?

当時石川県にいたのですが、あるクラブに入り浸ってまして(笑)
そこは当時、頻繁にLouie VegaやFrankie Knuklesなど海外DJがギグをやっていまして、かなりの影響を受けました。
いつしか自然に自分も、DJをやりたくなり、クラブで働く代わりに定期的にやらせてもらえる話も頂いたので、箱DJ見習いのような状態でやりだしたんです。
生活のサイクルも変わり、学校に通う事もだんだん困難になってきまして、当然どこかで決断をしなければいけない時期が来ていました。今思えばその時は、天秤にかけて、今どっちをやりたいのかだけで選んでしまった感じですけど。 

・今回のアルバムについてお話をお伺いさせてください。

アルバムタイトルはどのような意味があって、つけられたのでしょうか?
音楽は、もちろん耳で聴くものですけど、感じる物でもあると思うんです。様々な情景が思い浮かんだり、クラブやライブでは響きを肌で感じたり…
そういった人間の五感や感覚を、より高みにあげていくような作品に出来たらという想いを込めてつけています。

・収録されている曲についてお伺いさせてください。
バリエーションがあり、いろいろな音楽的な影響を感じる作品になっていますが、ご自身でこの曲を聴いてほしいというのはございますか?また、その理由を教えてください。

それぞれにテーマや思い入れがあるので、とりあえず全部ですけど(笑)
個人的に思い入れがあるのは、マンデイ満ちるさんに参加して頂いた"Map Of Soul"ですね。
やはり自分がクラブミュージックに触れるきっかけになった方ですから。自分にとっては特別な意味を持ってます。
"love Is An Open Door"は、初期のJam&Lewisなどの作品からインスピレーションを得たのですが、80年代-90年初頭のエレクトリックサウンドとソウルミュージックの融合し始めた頃のサウンドが、最近またすごく好きになっていて、その空気感を現在進行形で表現したいと思い作ってます。"Aquarius"などは、特にフロアを意識して作ってますね。DJの方は是非(笑)

・ 作品を作り続けることに対するプレッシャーはありますか?また、その時のリフレッシュ方法がありますか?

自分以外のたくさんの人が関わってくればくる程、それだけのプレッシャーはあります。
でも、追い込まれた時の方が、いいアイデアが出てくる事もあるので、適度なプレッシャーはあってもいいと思います。
どうしても煮詰まった時には、車をどこへでもなく走らせる事が多いですね。
山や川に行ってチルアウトしたりもしますし、もちろんクラブに行ったりもします。当然ですが、DJが次にかける曲は予想出来ないじゃないですか。たとえそれが知っている曲であっても、前後の曲によっても全然意味合いが変わってきたり。色んな意味で新鮮ですし、思わぬヒントを得る事もあります。
今まで1人で機材も覚え、曲も作ってきたのもありますし、元々の性格的にも、自分で考えて、自分で解決してくる事が多かったのですが、今回のアルバムでは、福富さんにCo-Producerを引き受けて頂けたので、相談事があればアドヴァイスを頂いたりもしました。

・ジャケットのデザインはご自身でやられたということですが、どのような想いでデザインされたのでしょうか?

そうですね。1つのコンセプトとして、自分の音を図形化するようなイメージを持っていました。
細かな音の集合体であったり、テックさと有機的な部分を併せ持つ様な…
でも基本的には、見た人が色々な解釈を持てる様なデザインを心がけたつもりです。
時にバーコードの様に見えたり、または遺伝子のような物に見えたり… という様な、捉え方は人それぞれでいいと思ってます。

・オールタイムフェバリットアルバムを5枚教えてください。また、その理由も合わせてお願いします。

Quincy Jones / The Dude
アレンジが見事としか言いようがない、今更語るまでもない名盤ですが、自分の中ではやはり外せない一枚です。
様々な面で影響を受けていると思います。

D-Note / Babel
Acid Jazzを知った当時、もっとも衝撃だったアルバム。クラシカルな要素から、ジャングルまで、ごった煮の中で曲間なく突き進む構成は、映画的でもあり、色々な情景を思い浮かべさせられます。

Nuyorican Soul / Nuyorican Soul
Masters At Workのクラブミュージックに与えた功績は言わずもがなですが、ルーツミュージックへの大きな愛情を感じる1枚です。とはいえ内容はモダンで、色褪せない名盤と思います。

Ian O’brien / Gigantic Days
テクノとJAZZが融合され、スペーシーでイマジネイティブな独自の音像を醸し出す彼やCarl Craigの作品は大好きです。

Jazzanova / In Between
これも衝撃でした。まったく新しい観念を作り上げた1枚だったと思います。深い知識の上に成り立つ確信の楽曲群は、ニューヨーロピアンソウルの結晶。

・BRISAさんのようになりたいと思う人たちにメッセージをお願いします。

絵に描き方が無いように、音楽も作り方は無いと思います。
大事なのは、感性とアイデアだと思いますし、楽器が出来ないのであれば、それを逆に強みにする事もできると思います。もちろんそれなりの時間や努力は必要だと思いますけど、詰まってもそれでも尚、前に進もうとする人であれば、チャンスはどこかしらに転がっているのではないでしょうか。
柔軟にする部分と、追求する部分を見極めて、後はアクションするだけです!

イベント情報:
11月22日(土)@渋谷clubASIA
12月11日(木)@渋谷The Room
12月27日(土)@名古屋mago


www.tetsushibuya.com
www.equalize.org.uk/

10月 22日, 2008 Interview |

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