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2009/04/01

SOUND FINDER Interview with 菊田早苗-総合格闘家-

実は僕、格闘技が好きでよく見ています。子供の頃は新日本プロレス(アントニオ猪木)や全日本プロレス(ジャイアント馬場)は毎週欠かさず見てたし、現在の総合格闘技につながっていくUWF、リングス、パンクラスもずいぶん見ました。
前々から格闘技と音楽は密接な関係があると思っていて、例えば全日本プロレスでは試合日程の告知の際にはCommodoresのMachine gunが使われていたり、アブドーラ・ザ・ブッチャーはPink floydのOne of these days(吹けよ風、呼べよ嵐って言ったほうがわかるかな?)を、コブラという覆面レスラーはAsiaのThe heat goes onを使っていたり、リングスで活躍した山本宣久選手は僕の大好きなGary MooreのAfter the warを入場行進曲として使っていました。そいえば、フリーバーズと名乗っていた外国人タッグはLynyrd SkynyrdのFree birdsを使っていたっけ。

入場の時に使う曲ってその選手の趣味が反映されると思うんですが、その中で異彩を放つ人が一人いたんです。Billy JoelのCaptain Jackを使ってるんですよね。

その選手のブログを読むと、何やら音楽の話題が満載。しかもかなり詳しい!
一度会って話を聞いてみたいと取材を申し込んだところ、喜んで引き受けていただけました。

今回のインタビューは総合格闘界きっての音楽フリークGRABAKAの菊田早苗さんです!

●格闘技についての取材ではないので、インタビューに応じていただけるかどうか心配だったんですが。
菊田選手:逆に格闘技に関しての取材はどうも苦手なんですが、音楽の話であれば喜んで積極的にやりますよ。

●音楽に興味を持ったきっかけはどんなものだったのですか?
Pikup_03 菊田選手:最初はQueenのボヘミアンラプソディを小学生のころ聞いたのがきっかけです。「これはすごいなぁ」と衝撃を受けまして、友達にも勧めてみたんですが、あんまりピンと来なかったみたいで(笑)。中学になると積極的にレコードを集め始めて、高校では私立校だったこともあり、いろいろなところから人が集まって来たお陰で様々な音楽を知りました。
Beatles やElton Johnなどのイギリスのロックが好きでしたね。最初に聞いたボヘミアンラプソディの後は、兄から貸してもらったストレンジャーでBilly Joelのファンになりました。1曲目のMoving outからThe stranger、素顔のままで、そしてA面最後のイタリアンレストランまで、曲を追うごとにどんどん良くなっていく。これは素晴らしい!と感じましたね。

もし、ストレンジャーじゃなく、それ以前の作品を最初に耳していたら、ここまで好きになることはなかったような気がします。ここ最近ですよ、ようやくピアノマンのアルバムも大好きになったのは。

●それは何かきっかけがあったんですか?
菊田選手:ライブですね。去年の夏にコネティカット州で行われたライブを前から4列目で見ました。その前にもBilly Joelは何度もライブに足を運んでいます。ニューヨーク、ロス、、東京ドームのライブにも行きました。

●昔の音楽が好きなんですか?
菊田選手:そうですね。70年代の音楽が好きです。20代の頃は聴いたことがない音楽を探していました。
Randy Newmanなんかはジャケからしていい感じで。すぐ買いました。
Gilbert O'Sullivanも影響を受けた一人です。音楽に対しての姿勢も好きなんです。武道の精神に通じるというか、朝起きて、9時から17時までピアノの前で音楽と向き合うみたいなことを言っていて、あと目立とうとかそういう思いで音楽をやっているわけではなく、良い音楽を作ろうとしているストイックなところが好きです。今日持ってきたCDもイギリスのヨークまでいってライブを見たんですが、その時にオサリバンにサインを入れてもらいました。

●ライブはよく行かれるんですね
菊田選手:バンドのライブは格闘技に通じるものがあると思います。ドラマではないし、映画でもないので、撮り直しが効かない。あと、かっこよさというのがあると思います。
もし、格闘技をやっていなかったら、音楽をやりたかったですね。

●音楽が好きなんですね(笑)
菊田選手:暗い話になっちゃうんですけど、音楽を聴くと過去に記憶がさかのぼるんですよね。1曲、1曲に対しての思い入れがあって、音楽を聴くと「あの時、あんなことがあったなあ」とか思いだすんですよね。海外に行って、一人で音楽を聴きながら、物思いにふけるということはよくあります。

●BeatlesよりPaul MacCartneyのソロが好きだおっしゃっていましたが。
Pic_0086 菊田選手:そうなんです。Wingsが好きです。Venus and marsとかPipes of piece、あとRed rose speedwayが好きです。これを聴いていたのは高校時代なんですが、柔道と勉強ばっかりで、何か鬱積したものをずっと抱え込んでいたような気がします。いつも気持ちが晴れないで悶々としている感じでした。
そんな時によく聴いた音楽です。Paulの曲はポップなんですが、哀愁もあって好きなんです。Beatlesの曲だとLong and Winding roadが好きかな。JohnはStrawberry fields foreverは好きですが、ギタリストしてはGeorgeの方が好き。ソロになってからのMy sweet roadとか聴いていました。あと、White albumもいいですね。While my guiter gently weepsとかSexy Sadie 、Mother nature's sonとか最高ですね。

●ストーンズも好きなんですよね。
菊田選手:そうですね。聴く前まではハードなギターサウンドのバンドかと思っていましたが、そんなことはなく、きれいなバラードもあれば、カントリー風な曲もあり、いろいろなタイプの曲があって好きです。
それにプロとしてもいい刺激になります。ミックは還暦を迎えていますが、あの肉体はすごい。そういう人がいると励みになりますね。自分は37歳ですが、もっと頑張らないと(笑)

●イギリスのロックが好きなんですね。
菊田選手:イギリスのロックって、湿った感じで、自分の湿っていた人生と重なる感じがするんですね。僕はずっといじけてる気がします。でもGeorge Michael、Style councilみたいなお洒落な音楽も聴きました。Style councilの曲で、Paris matchという曲があるんですが、この曲は僕の人生の中でも上位に入る名曲です。この曲の湿り具合がたまりません。

●そんなにいじけてるんですか?
菊田選手:そうですね、常に不満を抱えていました。高校でも遊びたいのに、柔道しかできない。ホントつまんなかった。今職業につながっているのでやってて良かったと思いますが、その当時はつらくて、きつくて。強制的な練習でしたしね。でも、20歳の時に挫折して柔道をやめてしまってからは、見事に何もなくなってしまって・・。逃げ出したものの強制的にやらされていた自分のほうがどれだけ幸せで充実してたかって初めて思いましたね。本当に辞めたら何もなくなってしまって。19歳から23歳くらいまではホントにつらかったです。やはり柔道を途中であきらめなければならない、プロになりたかったけどなれなかったというのが、僕の人生ではかなりの大きな挫折でした。そして逃げるようにオーストラリアに行ったんですが、こんな精神的に不安定な時に音楽はとても大切なものでした。

●菊田さんにとって格闘技とはどういうものでしょうか?

Pickup 菊田選手:格闘技には執着するけど、興味はないです。
格闘技はお世話になったし、これから残していかなければならない大事なものです。学ぶことも多く、活躍している場だけれども、もともと最初から格闘技が大好きという感じではないんです。自分に取っては人生の宿命みたいなものというか。
マニアックに誰と誰が戦うのが見てみたいとか、自分でお金を払って観にいきたいというものではない。音楽は自分で調べたりしてライブを観に行きたいと思うんですけどね。
ハードな練習して、食事制限をして、試合に集中するという格闘家としての生活スタイルが大好きなんです。リングに上がるあの感じとか、終ってからの充実感とか。それはどの職業にも負けないって思っています。でも、格闘技が趣味の音楽みたいにはならない。

前に、ザ・クロマニヨンズのヒロトさんが一日中音楽を聴いているって言っていたんですけど、そういうものを職業に出来てるって凄いことだなって思いました。

自分は総合格闘技のはしりで、先輩がいない中で始めたので、不安が常にありました。試合3週間くらい前になると、こんな野蛮なことはしたくないとか、逃げたいとかとずっと思っていましたよ。街中を車で走りながら、歩いている人を眺めていると「なんで、俺だけこんなことをしなくちゃいけないのか?いいなぁ、みんな普通に生活してる。おれは今から死にに行くのに」とか思うんですよね(笑)。
とってもネガティブな感情がふつふつと湧いてくるんだけど、そんな時も音楽が支えでしたね。

ところが試合をやって勝っちゃうと、世界中でこんな幸せな人はいないと思うんですよね(笑)
集中して、命かけて、試合を戦い終わって、一人でふらっと旅行に行く。
練習から試合にかけては、いろんな人との関わりがあるので、試合後は一人になりたい。
旅先では好きな音楽を聴きながら過ごすことが多いです。一人になって、生きているという実感が湧く瞬間です。
そういうときはロマンチックな音楽を聴くことが多いかな。Bee geesとかStevie Wonderとか。Latelyはいいですよね。海外で車を運転するとき、Overjoyedを聴くことがあるんですが、あの広大な土地にあの曲はたまりません。

●日本の音楽は聴きますか?
菊田選手:昔、フリッパーズギターはちょっと聴いてましたよ。いいセンスしてるなーと思いました。日本版Style councilという感じ(笑)20歳そこそこで売れて、ぱっといなくなるというところにも興味ひかれるんですよね。
日本の音楽って、洋楽のコピー的な要素を感じることが多いので、あまり好んで聴いたりしませんが、スガシカオとか山崎まさよしとかは独自性を感じますね。

●ミュージシャンに対してのあこがれはありますか?

菊田選手:もし、楽器が上手に弾けるんだったら、絶対ミュージシャン希望でしたね。
格闘技の練習って、ずっと同じ練習の繰り返しで、ある時パッと試合がある。そして、また同じことが続く。毎日心臓を動かして、これを365日、毎日やり続けて、モチベーションを維持しながら、また試合をする。音楽家は曲作り、レコーディング、ツアーという感じでメリハリがあるのがなんかいいなと思います。格闘技は体を動かすことがほとんですが、頭を使う作業が音楽にはあるので、なんか、こう、知的な作業がいいですね(笑)
詩を書いてみたい(笑)。
写真もそうですが、形に残るような作品を作れることがいい。確かに格闘技の試合もビデオとかに残っていますが、考えて、練りこんだものを形して残すというのは素晴らしいことです。

●最後に今日お持ちいただいたCDを紹介してください。


今回紹介された作品はこちら
Street life seranade / Billy Joel
A Stranger in my own back yard / Gilbert O'Sullivan
One / Elton John

090321_1602471 Special thanks GRABAKA Official site

菊田選手ブログ 菊田早苗日記

4月 1日, 2009 Interview |

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