SOUND FINDER Interview with Tasuo Sunaga
辰緒さんとの出会いはサウンドファインダーでSAVE THE VINYLというキャンペーンをやった時のことでした。キャンペーンで配布したフリーペーパーに寄稿していただいたのですが、音楽そしてレコードに対する愛情がものすごく深いということを感じました。それからはいろいろなイベントに呼んでいただいたり、渋谷のレコードショップでたまたま出くわしたり、はたまたSHIBUYA FMのスタジオ(辰緒さんもWorld standardという番組を毎週水曜日19時から放送中)で世間話をしたりしていましたが、今回このような形として記録を残せたことはとてもよかったです。ニューアルバムのJAZZ et JAZZは12月2日発売です。HMV、タワーレコードなどでは先着で7inchのヴァイナル特典付きで発売!
・JAZZ et JAZZというタイトルについて教えてください
アルバムのタイトル候補はいくつかあったんですが。
ジャズのアルバムと呼ぶには、昔からのオーセンティックなジャズファンにとっ て「これジャズ?!」って印象を持つ人もいると思ったので、「まぁ、ジャズはジャズということで。今自分がジャズだと思うことをやってみました。」的な感じでとらえてもらえればと思っています。今回のアルバムはいろんなタイプの音楽を実践しているので、前作とはちょっと違うイメージになっているかも知れません。
・制作期間はどのくらいだったのですか?
制作期間は2,3か月でしたが、集中して制作することができました。
アルバムを作ろうと思った時には納期が決まっているような状況なので、それまで温めてきたものを粛々と形にしていく作業ですね。
・以前のインタビューで、自分のDJプレイの中で使えるものを制作するというお話をされていましたが。
DJが何のための音源制作をするかというと、現場(クラブ)で使うため。なのでこの考え方は全然変わっていません。ただ、今回は曲によっては現場から離れられたかなと思っています。
自分の趣味がちょっと変わってきているというのもあるので、そのあたりの趣向の変化もアルバムには反映されていると思います。
・辰緒さんの場合、ミュージシャンではなくDJであったりプロデューサーという役割ですが、楽曲制作の進め方はどのようにされているのでしょうか?
このアーティストとコラボレーションしたいからこういう曲を作ろうとか、こういう曲があるから、このアーティストを使おうとか、いろいろな方向から考えますね。アルバム全体の方向性もあるので、それも意識しながら編集していくようなイメージで、それはDJをやっているのと変わらないです。
・その中で困ったことなどはありますか?たとえば、自分が思い描く曲のイメージが伝えられないとか。
正直そういうことはあります。自分が音楽理論的なことを全部わかっていれば問題ないんですが、そういうこともなく、抽象的な指示をするので、意志の疎通ができ ないことがあります。でもそういう時は自分がイメージしているものに近いレコードを聴いてもらって、連想してもらうようにしています。
ただ、今回の作品については意志の疎通が図れないとか、そういうことはありま せんでした。なのであまり驚くこともありませんでしたね。当初から設計図が しっかり決まっていて、完成型が見えていました。以前だと、「あぁ、こういう 風になっちゃうんだ」って思うこともありましたから(笑)
今回のアルバムについては菱山正太くんと万波麻希さんがメインで作業を進めていきましたが、彼らが見事に応えてくれて、イメージ通りになりました。
(菱山)正太くんに関しては若手ピアニストの中でquasimodeの平戸くんと並んで、抜群にセ ンスがいい。今回のアルバムでも彼に出会って、自分の負担が減るなって思いました。
曲作りにおいて、骨格となる構成やメロディがとても大切ですが、自分のイメージを伝えると、彼の場合、それを形にすることができる。
管楽器を入れたり、プラグインで効果音を入れたりすることは後からできるんですが、音像を考えるというところがとても難しい。今回は彼のおかげでこのあたりの作業が非常にスムーズでした。
海外のアーティストについては、できるだけデータのやり取りを少なくしたかったので、完成形に近いデモを作って、それを送って演奏してもらうような形で進めました。アナログな人間なんで、データでやりとりが信用できないんですよね (笑)
・楽器の演奏について、辰緒さんが細かく指示することはあるんですか?
基本的なメロディはあるんですが、それを忠実に守るようにとか、ベースラインはこう弾いてほしいとか、そのような指示はしません。ミュージシャンに任せます。
今回のアルバムのコンセプトに「Confidential」というのがあります。これは許された人たちだけが情報を共有するという意味としてとらえてほしいのですが、今回のアルバムをリスナーの皆さんが聴いて、この作品がきっかけで、参加していたミュージシャンの他の作品を聴いたりしてほしいですね。イメージ的にはミュージシャンとリスナーを結ぶラウンジというものを作りたかった。
今回のアルバムは今巷にあふれている音楽とは一線を画するとっつきにくいアルバムかもしれません。これは今の音楽に対してのカウンターという意味もあります。
・辰緒さんはクインシー・ジョーンズみたいですね。
自分はキップ・ハンラハンみたいになりたいですね。キップ・ハンラハンはワールドミュージックというか、正体不明の音楽をクリエイトしているアーティストなんですが、一度Blue Noteでライブを見たことがあります。ステージ上で最後まで客に背中を向けて、座っている人がいたんです。時折ミュージシャンに耳打ちしているんですが、「あの人なんなんだろう?」って思ったら、その人がキップ・ハンラハンだった(笑)
クインシー・ジョーンズの場合、もっとミュージシャンに細かく指示をしたりしてそうじゃない?
そうじゃなく、正体がわからないような、パンクな感じがたまらない。
・清志郎さんの曲は最初から収録予定だったんですか?
トリビュートというわけではないです。いつもアルバムにはご当地ソングを入れるという約束事あって(笑)
本当はストリングスのカルテットを入れたかったんですよね。
当初のイメージはクラシカルな室内楽と最新のエレクトロを融合させて、座りの悪い、狂気な雰囲気で。
リズムは今新しいジャズなのではないか?というのを当ててみました。
・そういう新しいアイデアはどうやって生まれるのでしょうか?
それは、毎日新しいレコードを聴いてるからじゃないかな。
このアルバムは自分の音楽の履歴が凝縮されていると思います。そのピースが組み合わさった結果です。
いろいろな音楽が本当にたくさんあります。なので、時々理解ができない音楽に も出くわすことがあるんですが、新しい音楽についてはわからないから駄目だとか、そういう風には思わないです。
わからないことは勉強しようと思っています。わからないから駄目だと言うのは勿体ない。
・今回は7inchのシングルもついているという話ですが。
実は冗談で言ったんですが、良くレコード会社の人がOKしたなと(笑)
配信というのはユーザとしては便利だと思いますが、オレはDJなので、そのアイデンティティの部分の表明です。
これは現在の配信ビジネスに対してのカウンター。もし、レコードやCDの パッケージが不要ということになれば、オレも不要なんだろうなと思っていま す。音楽が配信だけになったら、自分は引退でいいです。配信データをDJで使い たいと思いません。CDはデータ配信に取って代わられてしまう危惧もありますが、アナログは残ると思う。ごく少数 の人たちだけかも知れないけど、そういう人たちと想いを共有したいですね。
*注:HMV,タワーレコード他で先着特典でアナログ7インチ付。
辰緒さんからサウンドファインダーをご覧の皆さんへ
リリースインフォメーション
タイトル:JAZZ et JAZZ
アーティスト:Sunaga t experience
発売日:2009年12月2日
規格番号:GNCL-1228
価格:2,940円(税込)
レーベル:Geneon Universal Entertainment
参加アーティスト:
アキコ・グレース, トウヤマタケオ, Likkle Mai, Jukka Escola, Timo Lassy, Sofia Finnila, arlie, mama! milk, dahlia, Gerardo Frisina, Sebastian Studnitzky, Maki Mannami, and more...
収録曲
01. Autumn Frost
02. Confidential
03. Lilian Mode
04. The St. Vitus Dance
05. Brighter Bossa
06. Sketches Of TY
07. On The Corner Where You
08. A Kite
09. Atmosphere
10. Gold 'n' Silver
11. Hats off to Luciano Berio
12. 甲州街道はもう秋なのさ
須永辰緒のJAZZ川柳
mixi内コミュにてジャジーな川柳大募集中!
その他お知らせ!
レコード番長がつづる3年間のレコ買い日記 須永辰緒著「そのレコード、オレが買う!」発売中(リットーミュージック)
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