SOUND FINDER Interview with なかの綾

ヴィヴィドサウンドからデビューしたなかの綾。発売中のアルバム「ずるいひと」は歌謡曲のラテン、サルサ、ジャズアレンジでカバーした企画ものだが、よくある企画ものと一線を画するのはプロデューサーはせはじむによるところが大きい。参加するアーティストや制作者のクレジット見る限り、このプロジェクトは非常によく練られているということがうかがえる。
「環境も才能のひとつ」という人がいるが、彼女と話していると、まさにそのことを実感する。音楽活動をするうえで、どのように立ち振る舞い、どのようにしのいでいくか?ということを彼女は自然とわかっているようだ。新人のアーティストとしては異例の待遇で好スタートを切った彼女に、アルバムを聴いて感じたことを尋ねてみた。
いつ頃上京したんですか?
2年前に音楽をやるために上京しました。何はともあれ、生活することを考えなければならなかったので、JAZZ系で有名な某ライブハウスでバイトを始めたのですが、始めて1カ月ほどで、下積みにもほどがある(笑)
15分に1回トイレ掃除をしながら、あのステージに立ちたいと思ってましたね。
以前はどんなアーティストが好きなんですか?
椎名林檎さんが好きでした。小室ファミリー全盛の時代でしたねー(笑)。SPEEDも聴いてました(笑)。今は青江三奈さん、和田アキ子さん、東京スカパラダイスオーケストラ、エラ・フィッツジェラルド、エリカ・バドゥなどが好きです。
今回のプロジェクトについて教えてください。昭和歌謡とか好きだったんですか?
プロデューサーのはせはじむさんが昔から温めていたプロジェクトだったのですが、機会があって皆でカラオケに行った時に私の歌声をはせさんが気に入ってくれたことがきっかけで具体的にプロジェクトが始まりました。
このアルバムは古い曲ばかりですが、自分の音楽的志向性とかけ離れている感じは全くありません。というのも、父が40歳、母が38歳の時に私は生まれたので、子供のころから私の周りには大人ばかりで、自然と昭和歌謡に触れる機会が多く親しみがあったので。
当然、両親は昭和歌謡が大好きなので、二人にも楽しんでもらえるアルバムをリリースできたことは親孝行になったかなと思っています。
歌う上で自分の持っている情感のようなものはどのように表現しようと思ったのでしょうか?収録された曲の中で、特に印象に残っているレコーディングなど教えていただけませんか?
今回収録した曲はディレクターとはせさんと私で選びました。基本的にはねっとりした不倫の歌ばかりです(笑)。
私の年齢で、こんなドロドロの不倫を経験している子はほとんどいないと思います。正直、どのように表現するかというのが非常に難しかったですね。
お金を貸して逃げられたりとか、家のドアに靴の跡がついてたとか、そういうことはありますけどね。たまに思い返して、家まで行って火をつけようかとか思ったり(爆笑)。
収録された曲の中で一番気に入っているのは和田アキ子さんのラストメトロ(先行シングル盤)ですね。いつかは和田さんにお会いして、気に入ってくださったか尋ねてみたいですね。怒られなければ嬉しいのですが(笑)。
レコーディングしているときは、プレッシャーとかなかったのですが、作品が出来上がって、ネットにいろいろな情報が出始めてから、徐々に自分の置かれている立場に気がついたというか。なんかすごいことになってきちゃっていると思いました。
今回参加されているミュージシャンについて教えてください。
ピアノの安部潤さんはジャニーズ系アーティストやBoAさん、MISIAさん、そして前川清さんの作品等に参加されています。ベースの山敷亮司さんはバークリー出身だそうです。安部さんのご紹介で参加してくださいました。ドラムの柿澤龍介さんはトルネード竜巻のメンバーです。ギターは塩川俊彦さんで、the fascinationsというジャズバンドで活躍されていらっしゃいます。ホーンセクションはTrumpetが茅野嘉亮さん、Tenor Saxが辻野 進輔さん、Tromboneが榎本裕介さんです。茅野さんはJudy & MaryのYukiさんのバックで演奏していますね。パーカッションは西岡ヒデローさんで、CENTRALというサルサ・バンドをやっています。ストリングスは佐藤清喜さんで、ご自身でmicrostarというユニットをやっています。
「恋に落ちて」のPV見ましたが、レトロな雰囲気が良く演出されていて、楽しそうだなと。
歌詞本来のイメージとのギャップが面白いですね。
この曲は昔から大好きでカラオケでもよく歌っていたので入り込みやすかったです。でも、
レコーディングは大変でした。20テイク以上録りましたね。
「ダイアル回して手を止めた」の語尾をどれだけ伸ばすか?というところにこだわって、何度も録り直して、最後はスタジオで土下座したりしてました(笑)
はせさんからは、この曲に限らず、アルバム全体を通して、「もっとネットリ、情感を込めて!」みたいなことを言われたんですけど、このドロドロした歌に気持ちを込めすぎると、私を含めて若い世代のリスナーから離れてしまうと感じたんですよね。だから私なりにバランスを取って歌わせて頂きました。
現役ホステスというキャッチがついてますが、どう感じていますか?
早く辞めたいなって思ってます(爆笑)
最初は「えっ!?なんで書くの??」と思いましたが、ま、ほんとのことですからねー。
今の時代、バイトをしながら音楽活動をしている人はたくさんいますし、私の場合は、若いころ流しの歌手に憧れていたこともあって、そのような盛り場で歌を歌いつつ、ホステスをするということは嫌いじゃないんですよ。今の時代タフに生きなきゃだめですからね。
早く音楽活動だけに専念したいとは考えていますが、夜の街が好きなんですよね~。
ホステスをやめたとしても、夜な夜な飲み歩くでしょうね(笑)
ライヴについて予定はあるんですか?
今回のメンバーでのライヴは未定です。非常に練られたプロジェクトなので、ライヴについてもきっちりと固めてから臨みたいと思っています。
歌手としてはどのようなこと表現したいと思っていますか?
例えば、子供が買ってきたCDを親が聴いて、「なんだお前、いいの聴いてるじゃないか」という家もあれば、親が聴いているのを子供が聴いて、「オヤジ、なんかカッコイイの聴いてるじゃん」という感じで、親子の会話の架け橋になってくれればいいなと思っています。
ジャンルとか世代とかそういう垣根を越えて、楽しんでる姿を見ることが私にとっては幸せなことなので、そういう垣根がなくなればいいなと思っています。親世代の人が「今の若い子の音楽わからない」とよく言いますが、メッセージ性があっていい曲って沢山あると思うんです。反対に若い世代の人は「歌謡曲?わかんないよ。ダサイ」ではなく、これはかっこいい!という曲を見つけてほしいなと思っています。 自分はR&B好きだからそれしか聴きたくないではなく、本当によい音楽というものが何か?ということを感じてくれるようになればいいなと思っています。
なかの綾/ずるいひと
曲目
01.氷雨 (作詞作曲:とまりれん)
02.恋におちて (作詞:湯川れい子/作曲:小林明子)
03.黄昏のビギン (作詞:永六輔/作曲:中村八大)
04.経験 (作詞:安井かずみ/作曲:村井邦彦)
05.愛人 (作詞:荒木とよひさ/作曲:三木たかし)
06.ラスト・メトロ (作詞:村田さち子/作曲:小六禮次郎
07.ズルい女 (作詞/作曲:つんく)
08.ウナ・セラ・ディ東京 (作詞:岩谷時子/作曲:宮川泰)
09.舟唄 (作詞:阿久悠/作曲:浜圭介)
10.女とお酒のぶるーす (作詞:仁井谷俊也/作曲:宮下健治)
11.逢いたくて逢いたくて (作詞:岩谷時子/作曲:宮川泰)
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